WEBサイトを運営する際、GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleなどのデータ分析ツールを導入し、アクセス解析することが重要です。
そのためにはタグをサイトに埋め込む必要がありますが、以下の悩みを抱える方が多いでしょう。
「HTMLの編集が難しい」
「タグの管理に手間がかかる」
そこで、サイトに導入しているタグを一元管理できる「Googleタグマネージャー」が役立ちます。
本記事では、Googleタグマネージャーの概要や使い方について解説します。
Googleタグマネージャーの使い方を理解して、WEBサイトの管理をスムーズにおこなえるようになりましょう。
目次
GoogleタグマネージャーとはGoogleが提供しているタグ一元管理ツール
そもそもタグマネージャーは、タグ(トラッキング コードや関連するコードの総称)を一元管理できるツールです。
サイト運営において、Googleアナリティクスや、Twitter広告やFacebook広告などを導入する場合、その都度タグを埋め込まなければいけません。
ツールを導入・編集する度に、サイト内のHTMLを編集する必要がありますが、タグマネージャーはタグをまとめて管理できます。
これにより、管理画面上から簡単にタグの埋め込みや確認ができるので、大幅な工数削減となり、時間短縮につながるでしょう。
そして、Googlタグマネージャー(GTM)とは、Googleから提供されているタグマネジメントツールです。WEBサイトやモバイルアプリに含まれる「タグ」を簡単に更新できる機能をもちあわせています。
SEM Technologyによると、Googleタグマネージャーの利用率は43.42%となっており、多くの企業で導入されています。WEBサイト管理を容易にするために今後も導入が拡大するでしょう。
Googleタグマネージャーは、Googleアカウントを所有している方なら無料で使用できます。タグの手間に悩んでいる方におすすめのツールです。
参考:SEM Technology「タグマネージャー(GTM/YTM)の利用状況 2020年12月」
Googleタグマネージャーの使い方を解説
Googleタグマネージャーの導入方法について紹介します。
アカウントを作成する
①Googleタグマネージャーの公式サイトにアクセスして右上の「無料で利用する」をクリックします。
②画面が切り替わるので「アカウントを作成」をクリックします。
③「新しいアカウントの追加」という画面に変わるので「アカウント名」「国」「コンテナ名」の項目を埋めましょう。
ターゲットプラットフォームには「ウェブ」を選択して「作成」ボタンを押します。
④その後、利用規約が表示されるので、すべて確認してから右上の「はい」をクリックします。
アカウント作成が完了しました。
Googleアナリティクスと連携する
①Googleタグマネージャーのアカウント作成が完了した後は、Googleアナリティクスとの連携をしてみましょう。
「新しいタグ」をクリックします。
②タグとトリガーを選択する画面が表示されるので「タグの設定」をクリックしてください。
③「タグタイプを選択」から「Googleアナリティクス」「GoogleGA4イベント」をクリックします。
④次に測定IDを入力してください。測定IDの取得方法は、以下の手順で解説します。
⑤測定IDは、Googleアナリティクスの管理画面から確認できます。管理画面内の「データストリーム」をクリックすると、WEBサイトのURLが表示されるのでクリックしてください。
⑥測定IDをコピーします。
⑦測定IDの入力ができたら、そのほかの設定はデフォルトで問題ありません。
次にGoogleタグマネージャーのトリガーを作成します。
タグを作成させてもトリガーがなければ作動できないため、設定が必要です。
⑧「トリガーを選択してタグを配信」をクリックします。
⑨「トリガーの選択」が表示されるため「ALL Pages」を選択しましょう。ALL Pagesは、Googleタグマネージャーの対象となるWEBサイトの全ページを、GoogleアナリティクスGA4で計測する設定です。
⑩タグとトリガーの設定ができたら、右上の「保存」をクリックしてください。
⑪タグの名前を設定して完了です。
Google広告のコンバージョンタグを設置する
次に、配信した広告の成果を計測するGoogle広告のコンバージョンタグ設置方法について解説します。
①Googleタグマネージャーの左メニューから「新しいタグを追加」をクリックします。
②「タグの設定」をクリックしてください。
②タグタイプが表示されるので「コンバージョンリンカー」を選択します。
③リンカーのオプションは、通常選択する必要はありません。タグの下にある「トリガー」を選択しましょう。
④表示されたトリガーの中から「All Pages」を選択します。
⑤保存を押します。
⑥ワークスペースの「タグ」一覧で作成したタグが追加されていることを確認してください。
次にコンバージョンタグの設置をおこないます。
⑦Google広告を開き「コンバージョン」の概要から「新しいコンバージョンアクション」をクリックします。
⑧「コンバージョンの測定を始めましょう」から「ウェブサイト」をクリックしてください。
⑨「コンバージョン目標」や「イベントの種類」を選択しましょう。
⑩コンバージョン情報を設定してください。
「目標とアクションの最適化」ではコンバージョンしたい内容を登録します。今回は「購入」を選択します。
「コンバージョン名」は、コンバージョンの内容がすぐに理解できる名前をつけましょう。
「値」ではコンバージョンの価値を金額に加算して入力します。ここでは、3,000円とします。
「カウント方法」では、すべてのコンバージョンを計算するか初回のみカウントするかを選択します。
次にコンバージョンの計測期間を入力しましょう。
⑪「Googleタグマネージャーを使用する」を選択してください。
⑫表示される「コンバージョンID」と「コンバージョンラベル」をメモしておきましょう。
⑬Googleタグマネージャーに戻り、先程設定した「コンバージョンリンク」を選択します。
その後トリガーの新規作成をおこないます。
⑭「ページビュー」を選択後「一部のページビュー」を選択して「Page URL」「含む」「URL」を入力して「保存」をクリックしてください。
コンバージョンのトリガーが作成できました。
Googleタグマネージャーのホーム画面に戻り、左メニューにある「トリガー」を選択し「新規」をクリックします。
⑮コンバージョンID、コンバージョンラベルの項目にGoogle広告でメモした値を入力します。
⑯コンバージョンタグの設定が完了しました。
Facebookピクセルのタグを設置する
Facebookピクセルは、WEBサイト側におけるユーザーの行動を把握して広告の効果を測定できる分析ツールです。
①Googleタグマネージャーから「タグの設定」をクリックして「カスタムHTML」を選択します。
②Facebookの広告の「ビジネス設定」から「ピクセル」を追加して、設定します。
ピクセルが表示されるので、コピーしてください。
コピーしたFacebookピクセルのコードをHTML部分に貼りつけます。
③トリガーを選択して「AllPages」をクリックし、保存ボタンを押して完了です。
プレビューを確認する
GoogleアナリティクスやGoogle広告のコンバージョン、Facebookのピクセルのタグの設定が完了したら、正常にタグが動作しているかどうかプレビューモードで確認しましょう。
Googleタグマネージャー上に表示されている「プレビュー」ボタンを押します。
プレビューモードでタグマネージャーを設置したページを表示すると、ページの下にタグマネージャーの状態が表示されます。
タグマネージャーが「Tags Fired On This Page:」と表示されていれば問題はありませんが「Tags Not Fired On This Page:」と表示されている場合には修正が必要になるため確認しましょう。
Googleタグマネージャーを導入するメリット5選
Googleタグマネージャーは、タグを設置する手間が省けたりサイトの表示を高速化したりできるメリットがあります。
本項では、Googleタグマネージャーのメリット5選を詳しく解説します。
1.タグを設置する手間がかからない
Googleタグマネージャーを利用すると、一括でタグを設置できるので手間がかかりません。
WEB広告の計測タグはサイト上の各ページに設置しなければならず、時間がかかる傾向にあります。しかし、Googleタグマネージャーを導入すると、管理画面をとおして一括で設置できます。
したがって、試験的に導入したいツールがある場合でも、Googleタグマネージャーを利用して時間をかけずに設置できるのが嬉しい魅力です。
また、コンバージョンタグの設置のような購買につながるデータを計測したい場合でも、簡単に管理できるため、コードの貼り忘れを防げます。
早い段階からGoogleタグマネージャーを利用すると、後から修正する手間もなく活用できるので、WEBサイト管理における手間を大幅に削減できるでしょう。
2.外部連携できる
Googleタグマネージャーは、以下のようなツールとの連携ができます。
- 各種アクセス解析ツール(Googleアナリティクスなど)
- 各種WEB広告(リスティング広告、Facebook広告など)
- ヒートマップツール
- A/Bテストツール
- WEB接客ツール
WEBサイト上のデータを計測する際には、Googleアナリティクスだけでなく、WEB広告やヒートマップツール(WEB上でのユーザーの行動や反応を確認できるツール)を連携する場合があります。
連携する場合も、管理画面でまとめて確認できるため、手間がかからないでしょう。
3.初心者でもカスタマイズしやすい
Googleタグマネージャーは、初心者でも扱いやすい機能があり、カスタマイズしやすいのが特徴です。
例えば、WEBサイトのページビューだけでなく、以下のような際にGoogleタグマネージャーのカスタマイズが必要です。
- ページの後半部分の滞在時間を計測したい
- 資料ダウンロードページのクリック率の計測をしたい
Googleタグマネージャーなしにカスタマイズする際には、HTMLのコードを修正したり置き換えたりなどの複雑な作業が必要になります。
しかし、Googleタグマネージャーを利用すると、管理画面から簡単に設定ができます。
4.サイト表示を高速化できる
Googleタグマネージャーを導入すると、複数のタグを一つにまとめられるので、WEBサイト表示の高速化につながります。
高速化できる理由は、Googleタグマネージャーが非同期タグだからです。
通常の同期タグの場合、WEBページとJavaScriptの読み込みから処理までが同じタイミングでおこなわれます。それにより、WEBサイト表示の遅延につながります。
一方の非同期タグは、WEBページとJavaScriptの読み込みから処理までが別々におこなわれるのが特徴です。そのため、JavaScriptの処理に影響を受けずに、読み込み速度が早くなるのです。
その結果、WEBサイト表示が高速化されユーザーの離脱率減少につながります。
5.バージョンの管理機能が搭載されている
Googleタグマネージャーではバージョンの管理機能が搭載されていますから、タグの更新日や更新順を記録できます。
例えば、11月1日の設定であれば「バージョン1」、12月1日時点の設定は「バージョン2」に保存されます。
それにより、トラブルがあった場合に、以前のバージョンに戻して通常時の状態から稼働できるのです。
Googleタグマネージャーを導入するデメリット3選
メリットの多いGoogleタグマネージャーですが、対応していないタグがある点やリスク分散できないことなどがデメリットです。
本項では、Googleタグマネージャーのデメリットを3つ解説します。
1.すべてのタグを管理できるわけではない
Googleタグマネージャーはほとんどのタグに対応していますが、対応していないタグも存在します。
基本的に「同期処理が必要なタグ」と「ページ構造に関わるタグ」には対応していません。
具体的に説明すると、Googleアナリティクスのテスト機能やSNSボタンを生成するスクリプトなどが該当しない対象です。
上記のタグを変更する場合には、Googleタグマネージャーではなく、直接HTMLに記入する必要があるので、注意してください。
Googleタグマネージャーで対応できないタグがある場合、HTMLの知識がある担当者に依頼するか、WEBサイト運営に詳しい企業に依頼するといった対策を検討してみましょう。
2.リスクの分散ができない
Googleタグマネージャーはタグを一元管理できるのがメリットですが、システムエラーが発生してしまった場合、すべてのタグが機能しなくなる可能性があります。
したがって、Googleタグマネージャーが使えない場合に備えて、直接タグを管理できる方法を用意しておく対策を考慮しておく必要があります。
また、コンテナ単位でのデータをバックアップする方法も有効です。
3.導入作業に時間がかかる
Googleタグマネージャーを導入する際には、現在扱っている各ページにあるタグをすべてはずす必要があります。
そのうえで、Googleタグマネージャーの管理画面でもう一度タグの設定をし直さなければなりません。
現状設定しているタグの確認やカスタムレポート作成をおこなう場合は、2~3ヶ月かかる場合もあります。
スムーズにGoogleタグマネージャーの導入を進めるためにも、HTMLの知識をもっている担当者に依頼すると良いでしょう。
まとめ
Googleタグマネージャーは、WEBサイト上のタグを一元管理できる便利なツールです。
本記事で解説したように、Googleアナリティクスとの連携やコンバージョンタグの設定、Facebookのピクセル設置ができます。
Googleタグマネージャーを利用したことのない人は、本記事を参考に活用してみてください。